マンション売却で失敗しないためのポイントは?費用・流れ・注意点を解説

マンションを売る際には、どのように進めていくのか悩む方も多いでしょう。ここでは、マンションの売却をスムーズに行うためのステップと、売却に関する不安を和らげるためのアドバイスを紹介していきます。

大まかに、マンション売却の流れは「売却前」「売却中」「売却後」の3つのフェーズに分けることができます。それぞれのフェーズでの主要な手順や注意点を確認してみましょう。

1. マンション売却で失敗しないためには?

「マンションの売却を考慮しているけれど、どこから手をつけるべきか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。マンションを売るという大きな決断の後には、ミスを避けたいという思いが強くなります。

マンションの売却にはいくつかのステップがありますが、最初に確認しておきたいのは「予算」「スケジュール」「売却に必要な手続き」です。希望する売却価格やタイムラインを明確にし、必要な費用や書類のリストアップからスタートしましょう。

不動産会社を仲介者として利用する際、その会社が信頼性のあるものであるかの確認は不可欠です。経験豊富な不動産会社は、売却のプロセスをサポートしてくれます。しかし、信頼できる会社を見極めるためには、売主自身が基本的な不動産知識を有していることが望ましいです。

さらに、不動産の価格に関しては、以下の3つのポイントを理解する必要があります:「査定価格」「売り出し価格」「成約価格」。これらの価格は異なるので、混同しないように注意が必要です。

この記事では、マンションの売却を検討している方や、売却に関する知識を深めたい方向けに、売却の際の要点とアドバイスをまとめています。

次のセクションで、マンション売却のステップと注意点を詳しく解説していきます。

2.マンション売却の流れ

2-1. 売却前の準備

マンションの売却を考える際、最初に「どのくらいの価格で売却したいか」という点を明確にしましょう。もし、新しい住まいへの移住を検討している場合は、新居の取得費や移転費用も念頭に置いておくことが重要です。そうした費用を考慮して、理想の売却価格を設定することをおすすめします。

続いて、売却活動のタイムラインを計画することが大切です。一般的に、マンションの売却には3~6ヶ月の期間がかかることが多いとされています。このため、希望する売却完了の時期を基に、適切なスタート時期を逆算すると良いでしょう。特に、相続に関連した売却の場合、前もって行うのか、相続後に行うのかで、それぞれの利点や留意点が存在します。このテーマに関しては、後述のセクションで詳しく触れています。

さらに、マンション売却のタイミングも重要な要素となります。新しい生活がスタートする4月を前にして、多くの人が新居を検討するため、中古マンション市場は2~3月に熱を帯びることが多いです。このピーク時に合わせて売却を検討する場合、その約6ヶ月前の8~9月頃から売却の準備を始めるのが理想的と言えるでしょう。

売却に際しては、必要な書類の整理も欠かせません。事前に全ての書類を準備しておくことで、売却の手続きがより迅速に行え、購入を検討している方にも情報を提供することが可能となります。特に、費用に関連する書類を早めに整えておくと、購入希望者が予算の計画を立てやすくなり、取引の成立を促進することが期待できます。

2-2. 物件の評価

売却を考えているマンションの準備が整ったら、次に不動産会社に査定を依頼しましょう。査定とは、不動産会社がこれまでの取引実績をもとに、あなたの物件がどれくらいの価格で売れるかを評価することを意味します。主に「机上査定」と「訪問査定」の2つの方法があります。それぞれの特性を確認していきましょう。

机上査定、または簡易査定とは、物件の基本的な情報、例えば築年数、間取り、立地などをもとに、大まかな価格を出す方法です。

机上査定の最大の利点は、不動産の担当者が実際に自宅を訪れることなく、査定が行われるため、手間が少なく、スピーディに価格を知ることができる点です。そのため、時間に余裕がない場合や、とりあえずの価格感を知りたいという方には適しています。

しかしながら、机上査定はあくまで文書ベースの情報だけでの価格判断となるため、精度の面で訪問査定より劣ることが一般的です。具体的な売却価格を知りたい場合や、物件の特色をしっかりと評価してもらいたい方は、初めに机上査定を受けた後、訪問査定も検討するのが良いでしょう。

一方、訪問査定とは、不動産のプロが直接物件を訪れ、室内やその特徴、状態などを詳しく確認しながら査定額を算出する方法を言います。

訪問査定の大きな利点は、物件の細かな特徴や現状を直接確認できるため、より正確で詳細な査定結果を得ることができる点です。さらに、査定時に直接不動産の専門家と会話することで、売却の目的や希望を伝え、最適な戦略のアドバイスをもらうことも可能です。

ただし、訪問査定の際は物件に担当者が訪れる必要があり、そのための日程調整や立ち会いが必要となるため、概ねの査定結果をすぐに知りたい場合や、手軽に査定を受けたい場合には、あまり向いていないかもしれません。訪問査定は、売却意志が固まっている方や、最も適切な査定結果を得たいと考える方に特に推奨されます。

査定額は各不動産会社の評価基準や情報によって異なる場合があります。独自のリサーチだけではなく、専門家の客観的な評価を受けることで、適切な市場価格を把握できます。これを怠ると、物件を過大または過小な価格で出してしまうリスクが高まり、結果として売却期間が長引いたり、適切な売却益を得られない可能性が増えます。プロのアドバイスを活用することで、こういった売却のトラブルを避けることが可能となります。

査定価格の正確性を判断するためには、不動産会社の取引実績が大きな手がかりとなります。取引実績の多い会社は、地域の市場価格を正確に把握している可能性が高く、その評価は信頼性が高まります。そのため、多くの取引実績を持つリハウスAI査定などのサービスを活用し、エリアごとの適切な価格を確認することをおすすめします。

 

2-3. 媒介契約の手続き

不動産会社との売却活動に関する取り決めを正式にするため、媒介契約を締結します。媒介契約は、不動産の売買仲介を正式に依頼する際の契約で、主に「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3タイプに分かれています。

これらの媒介契約の特徴を簡単にご紹介します。

媒介契約の種類 概要
一般媒介契約
  • 複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約
  • 自分で買主様を見つけて直接売買可能
  • 契約期間の定めなし(国土交通省の定める標準媒介契約約款では、専任媒介契約と同じ3ヶ月以内)
専任媒介契約
  • 1社の不動産会社とのみ契約できる契約
  • 自分で買主様を見つけて直接売買可能
  • 契約期間は3ヶ月
専属専任媒介契約
  • 1社の不動産会社とのみ契約できる契約
  • 自分で買主様を見つけて直接売買不可
  • 契約期間は3ヶ月

媒介契約を結ぶ際は、3種類それぞれのメリットと注意点を押さえたうえで、自分にとって望ましい形で売却活動を行える契約方法を選択するように心がけましょう。媒介契約については、以下の記事で詳しく取り扱っています。

2-4. 売却のステップ

媒介契約が締結されたら、実際の売却活動を開始します。この段階で、物件の魅力を最大限に伝える取り組みが重要になります。

初めに、インターネットのホームページや広告媒体に物件情報を掲載します。信頼性の高い仲介会社を選択することで、的確な広告展開を期待できます。多くの見込み客に物件を知ってもらうため、物件情報サイトや様々な広告媒体に掲載することが大切です。そして、物件の魅力を最大限に引き出すために、高品質な写真の選択やキャッチフレーズの工夫をしましょう。

続いて、内覧会の準備を進めます。内覧は、購入希望者と直接対面し、物件を紹介する大切な時間です。週末など、購入希望者の利用しやすい日を選んで内覧を行うことが一般的です。内覧日の調整や事前の整理整頓も忘れずに。部屋を明るくする、清掃を徹底するなど、物件の魅力を最大限に伝えるための工夫は欠かせません。

次に、媒介報告を確認します。一般媒介契約を除いた契約形態で物件を出品すると、不動産会社は物件の販売進行状況を売主に定期的に報告する責務が生じます。具体的には、専任媒介契約の場合は最低でも2週間に1回、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、状況を更新して報告する必要があります。報告の主な内容としては、ホームページのアクセス数や問い合わせの有無などが含まれます。販売戦略や進行状況は営業担当者から定期的に共有されるため、何か疑問や不明点があれば遠慮なく確認しましょう。

購入意向が示された際、購入申込書が提出されることとなります。この「購入申込書」には購入条件が明記されているため、それを確認することが重要です。購入条件には、売り出し価格を基にした購入希望者の資金計画に基づく提案価格、手付金や内金、残代金のような支払いスケジュール、そして契約日や物件の引渡し日といった日程が含まれます。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

2-5. 売買の契約手続き

購入条件に合意した後、次のステップは売買契約の手続きです。売買契約は、売主、買主、そして仲介する不動産会社全員の参加のもと進められます。まず、重要事項説明書を確認し、理解した上で契約書に署名・捺印を行います。その後、手付金の受け取りや、その他の手続きが続きます。

マンションの売買契約書には、双方が合意した売却価格や物件の状態といった詳細が明記されます。売買契約を締結した後に、何らかの理由で売主が取引をキャンセルする場合、違約金の支払いが発生することがあるので、十分な注意が必要です。

2-6. 決済と物件引き渡し

決済日には、修繕積立金やマンションの管理費を考慮した残代金の受取り、固定資産税の精算などを行い、その後で売却不動産の引き渡しを進めます。通常、決済と引き渡しは同一日に実施されることが多いです。

さらに、不動産の所有権移転に伴い、不動産登記の手続きも必要です。この手続きは、土地や建物の所有者の変更を公式に記録するためのものです。不動産を売却する際、主に行われるのは抵当権の消去登記と所有権の移転登記です。売主として、抵当権の消去登記や、住所変更に伴う登記手続きなどの必要な手続きを忘れずに行うことが大切です。

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2-7. 税務処理

マンションの売却が完了したら、次のステップとして確定申告の手続きが待っています。売却により得た収益は、取得コストや関連経費を引いた後の金額が譲渡所得として計算され、税金の対象となるからです。

通常、確定申告は売却した次の年の2月16日から3月15日の間に提出しなければなりません。ただし、時期が変わる場合もあるため、前もって調査しておくことを推奨します。

もし譲渡益が生じた場合でも、申告を怠ると遅延税や未申告加算税などの追加料金が発生するリスクがあるため、きちんと申告を行うことが大切です。逆に、適切な申告をすることで節税措置を受けたり、譲渡損があれば税金の還付を受け取ることができます。

節税のための特例として、「譲渡所得に対する3000万円の特別控除」や「住居用の財産の売却に関連する譲渡損の損益通算及び繰越控除の特例」などが挙げられます。具体的な詳細や方法については、専門の記事や税務専門家に相談することをおすすめします。

3.マンション売却時の経費概要

マンションを売却する際の経費は、事前にしっかりと理解しておくことでスムーズな資金計画が立てられます。以下では、マンション売却に関連する主な経費について詳しく説明していきます。

マンション売却にかかる費用 概要
仲介手数料 不動産会社に対して支払う報酬
印紙税 契約時の書類にかかる税金
登記費用 不動産登記に対してかかる登録免許税と、登記を司法書士や土地家屋調査士に依頼した場合の報酬
譲渡所得税 不動産売却益にかかる税金

3-1. 仲介手数料


仲介手数料とは、不動産会社に対して支払う報酬のことで、売買契約成立後に支払うものになります。成約しない限り発生しない費用となります。

物件の売却価格によって仲介手数料は変わりますが、400万円超えの場合の仲介手数料の上限の価格は、以下のように決められています。

仲介手数料の上限=売却額の3%+6万円+消費税

不動産売却の仲介手数料について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

3-2. 印紙税

印紙税とは、契約時の書類にかかる税金です。書類に収入印紙を貼り付けることで納税したものと見なされます。売却価格が高くなるほど、収入印紙の金額は大きくなります。印紙税の金額については、以下のリンクよりご確認ください。

3-3. 抵当権抹消の登記

経費 不動産の売却時には、様々な登記手続きが伴いますが、中でも売主様が注意すべきは抵当権抹消の登記費用です。

抵当権抹消登記に関する費用は主に3つあり、登録免許税と登記情報代、郵送代となります。登録免許税は不動産1つに対して1000円がかかります。また、売却した資金で抵当権を抹消する場合は司法書士に抵当権抹消を依頼する必要があり、別途司法書士へ報酬を支払う必要があります。

一般的に、抵当権抹消登記の費用は売主様が負担しますが、不動産の所有権が売主様から買主様に移ったことを証明するための「所有権移転登記」については、買主様側が負担することが一般的です。

住宅ローンを組んでいた場合、金融機関は返済が滞ると土地や建物を手にするための「抵当権」を持っています。ローンが完済されたとしても、この権利は自動的には消滅しません。

従って、マンションを売却する際には、この抵当権を正式に抹消する手続きが必要です。なぜなら、抵当権が存在していると、新たな買主にとってはその物件が金融機関に差し押さえられるリスクがあるため、購入の障壁となるからです。

この抵当権抹消の手続きには登記費用がかかりますので、売却時の経費として計上する必要があります。

3-4. 譲渡所得税

不動産売却時に得た利益にかかる所得税と住民税を総称して「譲渡所得税」と呼ぶことが一般的です。不動産売却で得た利益を譲渡所得といい、これは売却価格から物件の購入費用と諸費用を差し引いたものになります。

譲渡所得に税金がかかるのは、売却益が発生した場合に限られます。譲渡所得がマイナスとなってしまった場合は「譲渡損失」として扱われ、譲渡所得税を支払う必要はありません。

譲渡所得にかかる税額を抑えられる特例はいくつか存在し、知らない状態で納付をすると損をしてしまう可能性があります。また、譲渡損失の場合も税制上の優遇措置を受けられる場合があるため、特例の条件に当てはまるかチェックしてみるとよいでしょう。

4. 準備項目を押さえる

マンション売却の流れでお伝えしたように、取引をスムーズに進められるように、マンション売却前に事前準備をしておくとよいでしょう。ここでは準備項目として、必要書類や費用などを詳しくご紹介します。

4-1. 必要書類

マンション売却時には、売却ステップに応じて複数の書類を準備する必要があります。書類の入手先もそれぞれ異なってくるため、事前に確認し、早めに入手しておくと安心です。必要書類の項目や入手先、必要となるタイミングは以下の通りです。

必要書類 入手先 必要なタイミング
権利証(または登記識別情報通知書) 紛失してしまった場合は法務局
  • 査定
  • 売買契約
  • 引渡し
マンションの管理規約 マンションの管理組合または管理会社
  • 媒介契約
  • 引渡し
固定資産税評価証明書(または固定資産税納税通知書) 紛失してしまった場合は市役所
  • 売却活動
  • 売買契約
  • 引渡し
マンションのパンフレット(間取り図などが分かるもの)
  • 査定
  • 引渡し
購入時の売買契約書
  • 確定申告

なかでもマンションの「権利証」(登記識別情報通知書)は物件の所有者を証明する書類となるため、特に重要度の高い書類となります。

4-2. 諸費用

書類以外にも、事前に準備しておくことが望ましい項目として、諸費用が挙げられます。諸費用のなかには、まとまった金額となるものもあるため、資金計画を立てるうえで確実に押さえておきましょう。諸費用の詳細は以下の通りです。

必要なタイミング 費用の項目
売買契約時
  • 仲介手数料の半金
  • 収入印紙(売買価格により異なる)
引渡し時
  • 登記費用(抵当権抹消登記等がある場合)
  • 仲介手数料の半金

マンションを売る前にハウスクリーニングやリフォームを考えている人は多いかもしれません。目的は、当然、物件の価値を上げ、より高い価格で売却したいからです。しかし、すべてのリフォームが必ずしも高いリターンをもたらすわけではありません。

実際にリフォームにかかる費用が、売却価格の上昇分よりも高くなってしまう場合、結果的に損失を出すことも考えられます。

もしリフォームを検討中であれば、プロの意見を取り入れることが賢明です。不動産専門家と一緒に、どのような改修がコスト効果が高いのか、また、売却価格への影響を正確に把握することで、より適切な判断を下せるでしょう。

5. 不動産会社の選び方

マンション売却において、不動産会社に仲介を依頼する際は信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。不動産会社の信頼度を見極める基準はいくつか存在しますが、代表的なものを2点ご紹介します。

5-1. 査定価格の理由を確認する

査定価格の背景や詳細な計算方法を不動産会社からしっかりと聞くことは、安心して取引を進めるための重要なステップです。

市場の平均価格と大きくかけ離れた査定価格を受け取った場合、そのまま売却を進めると、物件が長期間売れずに残ってしまったり、想定していた売却利益が得られないリスクが高まります。適切な価格設定は売却スピードや利益に直結するため、査定の理由や背景をしっかりと理解することが欠かせません。

5-2. 宅建業免許番号のチェック

宅地建物取引業者の免許番号を確認することは、業者の信頼性を判断する上で重要なポイントです。免許番号からは、業者の経験年数やその更新回数が確認できます。宅地建物取引業法に基づき、宅建士の資格更新は5年に1回必要とされているため、免許番号の数字が大きいことは、その業者が長い間業界で活動していることを示唆します。

しかし、免許番号だけでは全てを判断するのは難しいため、他の情報源も活用することが推奨されます。例えば、口コミ情報は非常に参考になります。公式のウェブサイトだけでなく、Googleマップなどのサードパーティのレビューサイトもチェックすると、中立的な評価やユーザーの生の声を知ることができます。

各不動産会社には特色や得意分野があるため、特にマンション売却の経験が豊富な業者を選ぶことで、より安心して取引を進めることができるでしょう。

6. 売却時の注意点

売却時の注意点を知っておくと、事前にトラブルを防げるほか、損をすることなく売るうえでも役立ちます。

6-1. 余裕を持ったスケジュールを立てる

売買契約が完了した後は、売主様は引渡し日までに新しい住居に引越さなければなりません。引越しまでに行うべきことを整理して、計画的に行動しておけば、住み替えで慌てるリスクを避けられます。引越しまでに必要となる準備は以下の通りです。

時期 準備内容
引越し1ヶ月前
  • 引越し方法の検討と業者の手配
  • 荷造りや粗大ごみの手配
  • 駐車場解約の手続き
  • 学校の転校手続き
引越し2週間前
  • 電話の移転・郵便物転送の手配
  • 役所への転出届の提出
  • 電気、ガス、水道会社への届け出
引越し当日から引渡し直前
  • 電気、ガス、水道の開栓(当日)
  • 住所変更の手続き(引越し後)
  • 売主様と買主様の立ち会いのもと、最終の引渡し前確認

6-2. 瑕疵の正確な開示が必須

売買契約の際に、売主は物件の状態や欠陥を正確に伝える責任があります。以前「瑕疵担保責任」として知られていたこの責任は、「契約不適合責任」として、物件が契約内容と一致していない場合、売主が補償する義務があることを意味します。

2020年4月の民法改正により、この責任の範囲や条件が一部変わり、売主のリスクが増加しました。例えば、引渡し後に買主が未記載の家の欠陥を発見した場合、それは契約不適合として、賠償請求や契約の解除などの対応を求められる可能性があります。

これを防ぐためには、契約書に物件の瑕疵や欠陥を正確に記載し、事前に買主に情報を提供することが不可欠です。また、専門家による住宅の点検や「インスペクション」を実施することで、信頼性を高め、予期せぬトラブルを避けることができます。

6-3. 確定申告を忘れずに行う

売却により譲渡所得が生じた場合、1年間の所得とその所得税を計算し、申告を行わなければなりません。確定申告の期間は、マンション売却を行った翌年の2月16日~3月15日の間です。年度によって期間が変わることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。もし、この期間内に申告しなかった場合は、延滞税がかかる可能性があるため注意が必要です。

また、確定申告は譲渡所得税の控除を受けるためにも必要なものとなります。譲渡益がある人、譲渡損失がある人、どちらにも控除を受けられる可能性があるので確認してみてください。譲渡所得税に関する特例には、以下のようなものが存在します。

譲渡損益 受けられる控除の特例
譲渡損失
  • マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

7. 「賃貸」も検討してみよう

ここまでマンション売却に関係するさまざまな情報について解説してきましたが、いかがでしたか?マンション売却はさまざまな工程を踏む必要があることに加え、知識も必要となってくるため、ここで解説した情報をしっかり身に付けることが大切です。

マンションの有効活用方法として、売却の他に賃貸を選択することも考えられます。賃貸の大きな利点は、家賃収入によって一定のリターンが期待できることです。ただし、空室になった際の収入損失や、確定申告の手間など、管理面での懸念も無視できません。マンションを売却するか賃貸に出すか、その選択は個人のライフスタイルや資産管理の戦略によります。どちらの方法もサポートしてくれる不動産会社を選べば、最適な選択をアドバイスしてもらえるでしょう。マンションの活用方法を考える際には、専門家の意見を取り入れることをおすすめします。